現場装備 買って、測って、載せる。 製品一覧 測定方法 運営者

防塵マスク・防じんマスクのフィルター交換時期|ろ過材の交換目安に決まりはない

30秒でわかる要点

防じんマスクのろ過材の交換時期に公的な時間数の定めはなく、通達は「あらかじめ設定した使用限度時間に達した場合」に交換するとしており、その時間は作業環境に応じて事業者が設定します。

防じんマスクの交換時期に公的な時間数の定めはない

「防塵マスク 交換時期」で調べると、8時間、1日、1週間といった数字が出てきます。これらは法令で決まった時間ではありません。厚生労働省の通達「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(令和5年5月25日 基発0525第3号)には、時間数の指定がありません。

通達が書いているのは決め方です。「ろ過材を有効に使用できる時間は、作業環境中の粉じん等の種類、粒径、発散状況、濃度等の影響を受けるため、これらの要因を考慮して設定する必要があること」。つまり使用限度時間は、現場ごとに事業者が設定するものです。

交換・廃棄の条件を定めた箇所でも、「ろ過材については、破損した場合、穴が開いた場合、著しい変形を生じた場合又はあらかじめ設定した使用限度時間に達した場合」と書かれています。「あらかじめ設定した」という表現が、時間数が法令に書かれていないことを示しています。

製品側の表示も同じではありません。本サイトが掲載している防じんマスク4製品のうち、使用限度時間を公表しているのは2製品だけです。3M Vフレックス 9105J-DS2が16時間、シゲマツ DD02-S2-2Kが14時間で、3M 8805-DS2と興研 ハイラック355は公表を確認できませんでした。

防じんマスクの使用限度時間(メーカー公表値) 3M Vフレックス 9105J-DS2は16時間、シゲマツ DD02-S2-2Kは14時間、3M 8805-DS2は定めなし、興研 ハイラック355は定めなし 3M Vフレックス 9105J-DS2 16時間 シゲマツ DD02-S2-2K 14時間 3M 8805-DS2 定めなし 興研 ハイラック355 定めなし
防じんマスクの使用限度時間(メーカー公表値)
本サイト掲載の防じんマスクと使用限度時間の公表状況
製品区分形状使用限度時間
3M Vフレックス 9105J-DS2 DS2折りたたみ式・使い捨て式16時間
シゲマツ DD02-S2-2K DS2二つ折り・使い捨て式14時間
3M 8805-DS2 DS2カップ型・使い捨て式公表を確認できず
興研 ハイラック355(排気弁付) DS2使い捨て式公表を確認できず

※参考:厚生労働省労働基準局長|基発0525第3号(第4 2(1)ろ過材の交換時期)(2026-08-23参照)

防じんマスクのろ過材の交換時期を判断するサイン|息苦しさが基準になる場合とならない場合

通達が示す実用的な基準は息苦しさです。「防じんマスク又はP-PAPRの使用中に息苦しさを感じた場合には、ろ過材を交換すること」。ろ過材は粉じんを捕集するほど目詰まりし、吸気抵抗が上がるため、呼吸のしにくさが交換の合図になります。

使い捨て式については、時間の前でも捨てる条件が書かれています。「使い捨て式防じんマスクにあっては、当該マスクに表示されている使用限度時間に達する前であっても、息苦しさを感じる場合、又は著しい型くずれを生じた場合には、これを廃棄し、新しいものと交換すること」。16時間と書いてあっても、16時間使えるという意味ではありません。

ここに重要な例外があります。オイルミストです。通達は「オイルミストを捕集した場合は、固体粒子の場合とは異なり、ほとんど吸気抵抗上昇がない。ろ過材の種類によっては、多量のオイルミストを捕集すると、粒子捕集効率が低下するものもあるので、製造者の情報に基づいてろ過材の交換時期を設定すること」としています。

言い換えると、油の霧が出る現場では、息苦しくならないまま性能だけが落ちます。通達は別の箇所でも「吸気抵抗の上昇のみを使用限度の判断基準にしないこと」と明記しています。切削油、離型剤、塗装のミストが出る作業では、体感ではなく時間で管理する必要があります。

※参考:厚生労働省労働基準局長|基発0525第3号(第4 2(1)イ・エ/第4 1(3)ウ)(2026-08-23参照)

防じんマスクのろ過材を1回で廃棄しなければならない粉じん

扱う粉じんによっては、時間や息苦しさに関係なく1回で捨てる決まりがあります。通達は2つの類型を挙げています。

1つは有害性の高い粉じんです。「砒素、クロム等の有害性が高い粉じん等に対して使用したろ過材は、1回使用するごとに廃棄すること」。防錆処理や特定の金属を扱う作業が該当します。

もう1つは持ち出しが禁止されている作業です。「石綿、インジウム等を取り扱う作業で使用したろ過材は、そのまま作業場から持ち出すことが禁止されているので、1回使用するごとに廃棄すること」。解体・改修工事で石綿を扱う場合、使ったマスクを車に積んで持ち帰る行為そのものができません。

これらの作業では、使い捨て式であっても取替え式であっても、ろ過材は1日1枚では足りず、作業ごとに1枚という計算になります。防じんマスクの消耗費を見積もるときは、扱う粉じんの種類を先に確認してください。

防塵マスクのろ過材を1回使用ごとに廃棄する作業
対象通達の記載理由
砒素、クロム等 1回使用するごとに廃棄すること有害性が高い粉じん等
石綿、インジウム等 1回使用するごとに廃棄することそのまま作業場から持ち出すことが禁止されている

※参考:厚生労働省労働基準局長|基発0525第3号(第4 2(1)ウ)(2026-08-23参照)

防じんマスクの点検で交換・廃棄する条件

通達は、点検の結果として部品を交換または廃棄する条件を6つ挙げています。ろ過材だけでなく、面体・弁・しめひも・電動ファン・電池まで対象です。

見落としやすいのがしめひもです。条件は「破損した場合又は弾性が失われ、伸縮不良の状態が認められた場合」。伸びきったしめひもは面体を顔に密着させられないため、ろ過材が新品でも防護性能が出ません。

弁も同じです。「呼吸用インタフェース、吸気弁、排気弁等については、破損、亀裂若しくは著しい変形を生じた場合又は粘着性が認められた場合」。粘着性という条件が入っているのは、ゴム部品が経年で劣化してべたつくためです。

点検の場所についても指定があります。使用後は、粉じんや湿気の少ない場所で、破損・亀裂・変形などを確認するとされています。現場に置いたまま次の日も使うという運用は、この点検を前提にしていません。

点検時に交換・廃棄する条件(基発0525第3号)
部位交換・廃棄する条件
ろ過材 破損、穴が開いた、著しい変形、あらかじめ設定した使用限度時間に達した
吸収缶 破損、著しい変形、あらかじめ設定した使用限度時間に達した
呼吸用インタフェース・吸気弁・排気弁等 破損、亀裂、著しい変形、粘着性が認められた
しめひも 破損、弾性が失われ伸縮不良の状態が認められた
電動ファン本体・部品 破損、亀裂、著しい変形
充電式の電池 損傷、充電後も極端に使用時間が短い、充電できない

※参考:厚生労働省労働基準局長|基発0525第3号(第5 6(6)点検時の交換・廃棄)(2026-08-23参照)

防じんマスクのフィットテストは1年以内ごとに1回

交換時期と並んで押さえておきたいのがフィットテストです。金属アーク溶接等作業を行う作業場所と第三管理区分場所では、告示で定める方法により「1年以内ごとに1回、定期に、フィットテストを実施しなければならない」とされています。

それ以外の事業場についても、リスクアセスメントに基づくリスク低減措置として呼吸用保護具を使わせる場合は「1年以内ごとに1回、フィットテストを行うこと」とされています。方法はJIS T 8150に定める方法またはこれと同等の方法です。

合否の基準は面体の種類で違います。要求フィットファクタは、全面形面体が500、半面形面体が100です。全面形は定量的フィットテストのみ、半面形は定性的・定量的のどちらでも実施できます。半面形で定性的フィットテストに合格した場合、フィットファクタは100以上とみなされます。

フィットテストは、労働者ごとに、その労働者が使う面体との組み合わせで行います。通達は「合格した場合は、フィットテストと同じ型式、かつ、同じ寸法の面体を使用する」趣旨を示しています。顔に合わない面体は、ろ過材をいくら交換しても性能が出ません。なお、顔との密着性を要求しないルーズフィット形は対象外です。

要求フィットファクタ(基発0525第3号 別表4) 全面形面体は500、半面形面体は100 全面形面体 500 半面形面体 100
要求フィットファクタ(基発0525第3号 別表4)
要求フィットファクタと使用できるフィットテストの種類
面体の種類要求フィットファクタ定性的フィットテスト定量的フィットテスト
全面形面体 500実施できない実施できる
半面形面体 100実施できる実施できる

※参考:厚生労働省労働基準局長|基発0525第3号(第5 5 フィットテストの実施/別表4)(2026-08-23参照)

防塵マスクを買うときに見る項目

交換の頻度が読めると、必要な枚数が決まります。使い捨て式は10枚入り・20枚入りで売られており、1日1枚で回すのか、作業ごとに替えるのかで年間の費用が数倍変わります。

本サイトの防じんマスクのページでは、区分(DS1・DS2・DL2など)、排気弁の有無、使用限度時間、重量を採点項目にして、用途別に順位を出しています。排気弁は呼吸のしやすさに効きますが、そのぶん製品が高くなります。

区分の選び方は扱う粉じんで決まります。Dは使い捨て式、Rは取替え式、Sは固体粒子用、Lは液体粒子にも対応、数字は粒子捕集効率の等級です。オイルミストが出る作業ではDS区分ではなくDL区分を選ぶ必要があります。

使用限度時間の公表がない製品は、事業者側で時間を設定することになります。設定の根拠を残す意味では、公表がある製品のほうが管理しやすくなります。

※参考:現場装備|防じんマスク(防塵マスク)の選び方とランキング(2026-08参照)

EDITORS PICK

この記事に関係する装備で、迷ったらこれ

本文で扱った条件を満たす製品です。順位の根拠は各カテゴリのページに、 配点は採点方法に公開しています。

マストバイ
防じんマスク

3M 防じんマスク 8805-DS2

DS2+排気弁付きのカップ型。粉じん作業で息苦しさを避けたいときの定番。

Amazon

防じんマスクのランキングをすべて見る

広告リンクです。価格と在庫は変動するため本サイトには実額を掲載していません。

この記事に関係する装備のランキング

職種によって優先すべき条件は変わります。職種ごとの装備一式と概算費用は 職種別の一覧にまとめています。

防じんマスクのランキング 職種別 記事の一覧
FAQ

よくあるご質問

防じんマスク・防塵マスクの交換時期と交換目安は何時間ですか?

公的に決まった時間数はありません。厚生労働省の通達 基発0525第3号は「あらかじめ設定した使用限度時間に達した場合」に交換するとしており、その時間は作業環境中の粉じんの種類・粒径・発散状況・濃度を考慮して事業者が設定します。

防塵マスクのフィルターの交換時期はいつですか?

使用中に息苦しさを感じた時点で交換します。使い捨て式は、表示されている使用限度時間に達する前でも、息苦しさを感じる場合や著しい型くずれを生じた場合は廃棄して新しいものに交換します。

防じんマスクは息苦しくなければ使い続けていいですか?

オイルミストを扱う作業では成り立ちません。通達は「オイルミストを捕集した場合は、固体粒子の場合とは異なり、ほとんど吸気抵抗上昇がない」「吸気抵抗の上昇のみを使用限度の判断基準にしないこと」としています。油の霧が出る現場では時間で管理してください。

防塵マスクを1回で捨てなければならない作業はありますか?

あります。砒素、クロム等の有害性が高い粉じん等に使用したろ過材は1回使用するごとに廃棄します。石綿、インジウム等を取り扱う作業で使用したろ過材は、作業場から持ち出すことが禁止されているため、同じく1回使用するごとに廃棄します。

防じんマスクのフィットテストはどれくらいの頻度で必要ですか?

1年以内ごとに1回です。金属アーク溶接等作業を行う作業場所と第三管理区分場所では告示で定める方法により実施が義務づけられており、それ以外でもリスク低減措置として使わせる事業場は同じ頻度で行うこととされています。

防じんマスクの要求フィットファクタはいくつですか?

全面形面体が500、半面形面体が100です。全面形は定量的フィットテストのみ、半面形は定性的・定量的のどちらでも実施できます。半面形で定性的フィットテストに合格した場合、フィットファクタは100以上とみなされます。

防じんマスクはろ過材以外に交換するところがありますか?

あります。しめひもは破損または弾性が失われて伸縮不良になった場合、吸気弁・排気弁と面体は破損・亀裂・著しい変形または粘着性が認められた場合に交換または廃棄します。しめひもが伸びきると面体が密着せず、ろ過材が新品でも防護性能が出ません。

関連記事

REF

参考文献

最終更新:2026-09-11