作業手袋・耐切創手袋の洗濯|洗えるのか、耐切創レベルはどうなるか
30秒でわかる要点
- ISO 21420は「この規格が要求する試験は、特に規定がない限り未使用の手袋で行う」としている。表示されている等級は新品での値。
- 手入れ方法の記載がある手袋は、推奨される洗浄回数の上限まで洗ってから再試験し、前後で低いほうが表示等級になる。
- 当サイト掲載の耐切創手袋16製品のうち、洗濯できると明記しているのはショーワグローブ DURACoil 386の1製品だけ。ただし洗濯回数の上限は書かれていない。
- 乾燥機とアイロンは温度が問題になる。タンブル乾燥の高温は排気80℃まで、アイロンの高温は底面210℃まで許容される。樹脂コーティングには高すぎる。
- 汚れたまま放置すると劣化が進む。ショーワグローブは「汚れが付いたまま放置すると、そこから手袋が劣化する恐れがあります」としている。
作業手袋の洗濯について、ISO 21420は「手入れ方法の記載がある手袋は、推奨される洗浄回数の上限まで洗った前後で試験を行い、低いほうの結果を性能レベルとする」と定めています。洗濯回数の上限が書かれていない手袋は、洗った後の等級が確かめられたかを読み取れません。
耐切創手袋・作業手袋の洗濯の可否は、メーカーがほとんど公表していない
「作業手袋 洗い方」で調べても、メーカーの公式な答えはあまり見つかりません。当サイトが掲載している耐切創の作業用手袋16製品について、メーカーの製品ページと商品情報を確認したところ、洗濯に触れているのは1製品だけでした。
その1製品がショーワグローブのDURACoil 386です。同社の製品ページには「洗濯により繰り返し使用できます」と明記されています。ただし、どう洗うのか、何回まで洗ってよいのかは書かれていません。残る15製品には、洗濯の可否そのものの記載が見当たりませんでした。
ショーワグローブのよくある質問には「耐切創手袋」と「取り扱い・保管方法」の両方のカテゴリがありますが、2026年8月時点で、耐切創手袋のページに洗濯に関する項目は見当たりません。取り扱い・保管方法のページにあるのは、家庭用の塩化ビニル樹脂製手袋やゴム手袋を想定した内容です。
つまり、耐切創の作業手袋を洗ってよいかどうかは、多くの製品で「メーカーが何も言っていない」状態です。これは洗ってはいけないという意味でも、洗ってよいという意味でもありません。次の節で説明するとおり、記載がないこと自体に規格上の意味があります。
| 製品 | メーカー | 洗濯に関する記載 |
|---|---|---|
| DURACoil 386 | ショーワグローブ | 「洗濯により繰り返し使用できます」と明記。方法と回数の上限は記載なし |
| S-TEX 581 | ショーワグローブ | 確認できず |
| S-TEX 300 | ショーワグローブ | 確認できず |
| S-TEX 350(ハガネコイル) | ショーワグローブ | 確認できず |
| S-TEX KV3 | ショーワグローブ | 確認できず |
| S-TEX Alpha XC520 | ショーワグローブ | 記載なし |
| XC510 フォルテックス | ショーワグローブ | 記載なし |
| カットガード132V/130V/210MQ/F130/G150/F102ロング | ミドリ安全 | いずれも確認できず |
| ハイフレックス 11-644 | アンセル | 確認できず |
| ActivGrip Advance KEV-S/PowerGrab KEV4-S | 東和コーポレーション | いずれも確認できず |
※参考:ショーワグローブ|DURACoil 386 製品ページ(洗濯により繰り返し使用できます)(2026-08-25参照)
耐切創手袋を洗うとEN388の等級はどうなるか
保護手袋の一般要求事項を定めるISO 21420:2020は、洗浄について次のように規定しています。「特に規定がない限り、この規格および保護手袋の個別規格が要求するすべての試験は、未使用の手袋で行う」。EN388の耐切創レベルもこれに含まれます。パッケージに書かれている等級は、新品を試験した結果です。
続けて同じ条文はこう定めています。「手入れの方法が示されている場合、この規格および個別規格の性能に関する試験は、示された手入れ方法により推奨される洗浄回数の上限まで洗浄した手袋について、洗浄の前と後で行う。性能レベルは、洗浄の前と後で得られた結果のうち低いほうによって与えられる」。
ここから読めることは1つです。手入れ方法が書かれている手袋は、その回数まで洗っても表示等級が維持されることが試験で確かめられています。手入れ方法が書かれていない手袋は、洗った後の性能について何も試験されていません。洗って等級が下がるとは限りませんが、下がらないことも保証されていません。
- 表示されている耐切創レベルは、特に規定がない限り新品での試験結果
- 手入れ方法の記載がある手袋は、上限回数まで洗った後も再試験されている
- 表示等級は、洗浄の前と後の低いほうの結果
- 手入れ方法の記載がない手袋は、洗った後の等級が確かめられていない
- 当サイト掲載の耐切創手袋で洗濯に触れているのは1製品のみ。その製品も洗浄回数の上限は書いていない
※参考:ISO 21420:2020 Protective gloves — General requirements and test methods(4.3 Cleaning・公開プレビュー版)(2026-08-23参照)
作業手袋の洗い方|乾燥機とアイロンの温度が上限を超える
洗う場合に効いてくるのは、洗剤より温度です。洗濯表示の記号を定める日本産業規格 JIS L 0001では、タンブル乾燥の高温は「排気温度の上限は最高80℃」、低温は「最高60℃」と決まっています。アイロン仕上げは底面温度で210℃・160℃・120℃の3段階です。
耐切創手袋の多くは、手のひらにニトリルゴム・天然ゴム・ポリウレタンのコーティングがあり、生地にはアラミド繊維やポリエチレン、ステンレススティールの細線が編み込まれています。この構成に210℃のアイロンをあてる作業は考えにくく、タンブル乾燥の80℃もコーティングにとっては高い温度です。乾燥は自然乾燥にするのが無難です。
洗う場合の手順は、中性洗剤をぬるま湯に溶かして押し洗いし、すすいでから、直射日光を避けた風通しのよい所で陰干しするという流れになります。もみ洗いやブラシは編み込まれた繊維を傷めます。漂白剤と柔軟剤は、コーティングとの相性が公表されていないため避けてください。
| 記号番号 | 処理 | 上限 |
|---|---|---|
| 110 | 手洗いによる洗濯処理ができる | 液温40℃ |
| 111 | 手洗いによる洗濯処理ができる | 液温30℃ |
| 100 | 洗濯処理はできない | — |
| 210 | 酸素系漂白剤は可、塩素系漂白剤は不可 | — |
| 200 | 漂白処理はできない | — |
| 320 | タンブル乾燥(高温)ができる | 排気温度80℃ |
| 310 | タンブル乾燥(低温)ができる | 排気温度60℃ |
| 300 | タンブル乾燥処理はできない | — |
| 445 | 日陰でのつり干し乾燥がよい | — |
※参考:消費者庁|洗濯表示(令和6年8月20日以降)JIS L 0001の概要(2026-08-23参照)
作業手袋の手入れ|汚れを落とさないと劣化が進む
洗うかどうか以前に、使用後の汚れを落とすことがメーカーの共通した指示です。ショーワグローブは、使用後の手入れについて「汚れが付いたまま放置すると、そこから手袋が劣化する恐れがあります」としています。油や洗剤が付いたままにしないこと、水分を拭き取ってから保管することが挙げられています。
塩化ビニル樹脂製の手袋については、劣化の仕組みが具体的に説明されています。「塩化ビニル樹脂製手袋は、油や洗剤に長時間あるいは繰り返し接触することで収縮し、硬化する性質があります」。硬化を遅らせる対策として、使用後に表面の洗剤や油を洗い落とすこと、洗剤は薄めて使うこと、温水は低めの温度にすることが示されています。
保管については、使用期限そのものは設けられていません。ショーワグローブは「当社で使用期限は設けておりません。また保管の状況によっては、経年劣化の進行が早まる材質もございますので、長期保管はおすすめしておりません」としています。まとめ買いして数年寝かせる買い方は、材質によっては不利になります。
- 使用後は表面の油や洗剤を落とす
- 水分を拭き取ってから保管する
- 直射日光を避けて保管する
- 洗剤の原液に直接触れさせない。使う場合は薄める
- まとめ買いしすぎない。長期保管は材質によって劣化が進む
※参考:ショーワグローブ|よくある質問(取り扱い・保管方法)(2026-08-23参照)
洗って使い続けるか、交換するか|作業用手袋の判断
洗濯で悩む場面の多くは、実際には交換時期の判断です。耐切創手袋は消耗品で、指先の摩耗、コーティングのひび割れ、編み地のほつれ、ステンレス線の露出が出た時点で、洗っても性能は戻りません。表示されている耐切創レベルは新品での試験結果なので、傷んだ手袋にその数字は当てはまりません。
本サイトの作業手袋のページでは、耐切創レベル・コーティングの種類・ゲージ数・サイズ展開を採点項目にして、用途別に順位を出しています。同じ製品を洗って延命するより、価格帯の合う製品を複数枚まわしたほうが結果的に安く済むことが多いためです。
なお、手袋そのものを使ってはいけない作業もあります。労働安全衛生規則第111条は、ボール盤や面取り盤など、回転する刃物に労働者の手が巻き込まれるおそれのある作業について、手袋の使用を禁じています。洗い方の前に、その作業で手袋を使ってよいかを確認してください。
※参考:現場装備|作業手袋(耐切創手袋)の選び方とランキング(2026-08参照)
この記事に関係する装備で、迷ったらこれ
本文で扱った条件を満たす製品です。順位の根拠は各カテゴリのページに、 配点は採点方法に公開しています。
東和コーポレーション トワロン ActivGrip Advance KEV-S(EN407 耐熱つき)
耐切創ISO13997 Dに加えて、EN407:2020の耐熱区分を公表している唯一の掲載製品。
広告リンクです。価格と在庫は変動するため本サイトには実額を掲載していません。
この記事に関係する装備のランキング
職種によって優先すべき条件は変わります。職種ごとの装備一式と概算費用は 職種別の一覧にまとめています。
よくあるご質問
耐切創手袋・作業手袋は洗濯できますか?
製品によります。当サイト掲載の耐切創手袋16製品のうち、洗濯に触れているのはショーワグローブ DURACoil 386の1製品だけで、「洗濯により繰り返し使用できます」と明記されています。残る15製品は洗濯の可否の記載を確認できませんでした。
耐切創手袋を洗うと切創レベルは下がりますか?
下がるとも下がらないとも言えません。ISO 21420は「特に規定がない限り、すべての試験は未使用の手袋で行う」としたうえで、手入れ方法が示されている場合は推奨される洗浄回数の上限まで洗った前後で試験するよう定めています。洗濯できると書かれていても回数の上限がなければ、洗った後の等級が確かめられたかは読み取れません。
作業用手袋は洗濯機や乾燥機を使えますか?
洗濯表示を確認してください。JIS L 0001ではタンブル乾燥の高温は排気温度80℃、低温は60℃が上限です。耐切創手袋は手のひらに樹脂コーティングがあるものが多く、乾燥機の熱はコーティングにとって高い温度になります。自然乾燥が無難です。
作業手袋の洗い方の手順を教えてください
中性洗剤をぬるま湯に溶かして押し洗いし、すすいだあと、直射日光を避けた風通しのよい所で陰干しします。もみ洗いやブラシは編み込まれた繊維を傷めます。漂白剤と柔軟剤は、コーティングとの相性が公表されていないため避けてください。
作業手袋の手入れは洗う以外に何をすればよいですか?
使用後に表面の油や洗剤を落とし、水分を拭き取ってから直射日光を避けて保管します。ショーワグローブは「汚れが付いたまま放置すると、そこから手袋が劣化する恐れがあります」としています。
作業手袋に使用期限はありますか?
ショーワグローブは「当社で使用期限は設けておりません」としたうえで、「保管の状況によっては、経年劣化の進行が早まる材質もございますので、長期保管はおすすめしておりません」としています。まとめ買いして数年保管する買い方は材質によって不利になります。
参考文献
- ショーワグローブ|DURACoil 386 製品ページ(洗濯により繰り返し使用できます)
- ISO 21420:2020 Protective gloves — General requirements and test methods(4.3 Cleaning・公開プレビュー版)
- 消費者庁|洗濯表示(令和6年8月20日以降)JIS L 0001の概要
- ショーワグローブ|よくある質問(取り扱い・保管方法)
- 現場装備|作業手袋(耐切創手袋)の選び方とランキング
最終更新:2026-09-09